大井川アプト式鉄道のデザイン - 2023.10.06 Fri

異常な猛暑が続いた今年の夏もやっと終わり、久しぶりの投稿である。
何か急に、懐かしいアプト式鉄道をもう一度見に行こうと思って、静岡県は奥大井の「アプトいちしろキャンプ場」まで出かけた。
このキャンプ場は大自然に囲まれた素晴らしいロケーションに恵まれており、大井川を挟んで対岸に、アプト式鉄道が急傾斜の線路を行き来する姿がキャンプをしながら見渡せる。

朝早くに自宅を出発し、新東名を経由して険しい山道を通ってやっとのことでキャンプ場に到着。静かな渓谷で、始発のアプト式機関車の登場を今か今かと待つ。
さあ、汽笛を鳴らしながらやって来ました。アプトいちしろ駅を出発してから次に長島駅までのわずか一駅の区間が日本一の急傾斜となっており、ここにアプト式のラックレールが敷かれている。機関車はゆっくりと登り続けるので撮影には困らない。

昔は乗客として車内から景色を楽しんだが、今日はこの雄姿を遠くからカメラに収めておきたかった。

このアプト式機関車は日立製作所勤務時代に私がデザインした懐かしい車両だ。1988年当時、オーディオ機器のデザイン経験を経て、鉄道車両など公共機器に担当が変わって間もない頃の事だった。業務としてはカラーリングの提案であったが、何案かのスケッチを描いて提案し、現在のデザインに決定している。一番印象に残っているのは、アプト式鉄道の特徴をアピールするためのロゴも同時にデザインしたことで、これがそのまま採用されていることが嬉しい。アプト式の特徴であるラックレールとギヤが嚙み合ってしっかりと急傾斜を昇り降りする仕組みをデザイン化している。

今考えれば、運よくこのアプト式機関車のデザインに関与することが出来て、本当に良かったと思う。工業製品のデザインに携わっていても、ほとんどの製品は数年で市場から姿を消してしまうが、この機関車は違う。
アプト式鉄道が開通してから既に33年が経過し、当時建設されたダムにも豊かに水が溜まり、奥大井湖上駅など、素晴らしい絶景スポットを創り出している。奥大井周辺を散策し、昔のことを思い出しながら充実した一日を過ごすことが出来た。

大井川の沿線には昔ながらの駅舎が今もしっかり残されている。

帰りに通った山中湖。今朝は富士山頂に初冠雪が記録された日でもある。

さわやかに晴れた初秋の旅でした。

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